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「ご苦労さん」に激昂?大阪知事選投票管理者を暴行した男の動機が変

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世の中には「言葉狩り」に精を出す人がいるとは知っていましたが、まさか現実に暴力でそれを実行する人がいるとは思いませんでした。

大阪府知事選の投票場で起こった投票管理者への暴行がまさにそれです。

この事件は正直なところくだらない話なのですが、そこから伺える犯人の思想が色々と考えさせられます。

報道された事実

11月23日に茨木市の47歳会社員男性が公職選挙法違反で逮捕されました。

この犯人には、11月22日午後7時45分ごろ、大阪市内の投票所で机をひっくり返し、投票管理者の70代男性に対して左側頭部を平手打ちし、脅迫した疑いが持たれています。

なお、犯人は次のように主張していたとのことです。

「『ご苦労さんです』という言葉は目上の者に使う言葉ではない。俺は大阪府民として当然の権利を行使してるんや。」

男性は犯行を認めており、やり過ぎたと反省しているとのことです。

言葉狩りの過剰性

日本語の言葉遣いが乱れているとは私自身も感じます。

しかしそれが自然な変化ならば問題ありませんが、典拠が怪しい本による誤った知識が拡散されていることも頻繁にあります

代表的なのが「全然大丈夫」という言葉遣いが間違いだという指摘ですね。「全然の後は否定語が来る」というルールは戦後に急に広まった都市伝説です。

夏目漱石など明治時代の作家の作品を読んでいれば、「全然」を肯定語につなげる用法も普通に見られます。

要するに、戦後の一時期にこういう用法の使用例が減ってきただけであって、ルールそのものが変わったわけではなかったのですね。

こういう経緯を知らずに「全然~ない」を間違いだとドヤ顔で指摘してくる人がいると、私は相手にする気力が失せます。歴史的経緯を知っていれば、単純に間違いだと断じることはできないと思うのですが。

今回の「ご苦労様」のケースでも、目上から目下に掛ける言葉だと言われるようになったのは戦後になってからですよね。江戸時代の殿様が家臣に対してかけるような言葉だ、と考えられたわけです。

しかし、目下から目上に「ご苦労」と言っている用例が江戸時代以前の文献にありますし、本当に目上の人に使うのが間違いだと断じられるのか疑わしくもあります。少なくともこの用例については、議論がなされているわけです。

そうした状況を考慮すれば、「ご苦労さん」と言われたくらいで激高する理由はないと思います。「ああ、この人は私と用例に対する見解が違うんだな」というだけの話です。

むしろ、相手の言葉遣いに対して激高したというのは方便で、単なる憂さ晴らしではなかったかという疑いが湧いてきますね。

投票者は目上の人なのか?

そもそも犯人の言い分は突っ込みどころが多すぎます。

たしかに投票は国民の権利ですが、権利であることと権利行使が現実問題として面倒であることは矛盾しません。その現実面の苦労を労うのは、まったくおかしなことではないでしょう。

さらに犯人は自分が目上の人間だと主張していますが、投票者がなぜ目上の人間になるのでしょうか。相手が投票管理者だろうと、投票者が威張る理由にはなりません

私には「投票者と管理者に何らかの上下関係がある」という発想自体が奇妙に思えます。

こういう発想をするということは、普段からよほど上下関係を意識せざるを得ない生活をしているのでしょうか。だとすれば相当ストレスが溜まりそうですね。

やはり、犯人が激高したのもそういうストレス発散のためであり、言葉遣いの問題は単なる口実だと考えるのがしっくりきます。

まあ、そもそも70代の老人に因縁をつけて躊躇なく暴力を振るう人間が、どの面下げて言葉遣いを云々しているのかって話ですけどね。

まとめ

  • 「ご苦労さん」が目下に使われるというルールには疑問の余地もある
  • 投票者と管理者に上下関係を持ち込むことは奇妙
  • 犯人は単なるストレス発散が目的で老人を暴行したのではないか

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